言葉自体は知っていても、自分事として考えることが難しい「フェムテック」。美容師のお二人と一緒に、日本デリケートケア協会の樋口さんを迎えて学びを深める連載がスタートしました。第一回目となる今回は、フェムテックの定義やケアの重要性について。
フェムテックとフェムケアについて知ろう
樋口さん:今日は連載第一回ということで、まずは「フェムテック」について、基礎知識やケアの重要性について理解を深めていけたらと思います。ケアアイテムも実際に手に取ってもらいましょう!
関口さん&甲斐さん:よろしくお願いします!
樋口さん:まず、「フェムテック(Femtech)」という言葉について。Female(フィーメイル:女性)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービスを指す言葉です。デンマーク出身の起業家であるイダ・ティン氏が作ったとされています。
なんとなく難しいとか、流行り言葉とも捉えられてしまうのですが、要は「自分を知ること」「自分に優しくすること」と覚えてもらえたら。自分を労わってケアに時間を割くことで、パートナーや子供に対しても優しくなれたり、仕事上でも円滑なコミュニケーションが取れると思うんです。
女性は生理、妊活、更年期というように、一生のうちに身体の変化が大きいですよね。それに頑張って対応しながら生きていることを、自分自身で理解してケアすることはもちろん、家庭やお仕事のパートナーである男性にもわかってもらえるとお互いが心地よく生活できるはずです。
樋口さん:例えばですが、月経では大体1ヶ月におおよそどのくらいの血液が出ていると思いますか?
関口さん:どのぐらいだろう?
甲斐さん:全然わからないなぁ。
樋口さん:だいたい平均が20〜140㎖なんですね。
甲斐さん:健康診断で採血をするときを思い出すと、あの試験管が10㎖いかないくらいだから、10本以上ってことかぁ。それは貧血にもなりますね。
樋口さん:そうなんですよ。サラサラではなくレバーのような塊で出血することもありますよね。
冷えが原因で起こることですが、そうなると月経痛がひどくなってしまうこともあります。こういった悩みも、フェムケアの対象となる健康課題です。
関口さん:効果的なケア方法は何でしょうか?
樋口さん:やっぱり身体を温めてあげることですね。これは女性に限らず男性の健康にも言えることです。中でも「腹巻き」が手軽に効果を実感できるのでおすすめです。
理想の体温は36.5°C以上ですが、現代人の中には、体温が35℃台の人がとっても増えています。35℃台は身体の内部が正常に動けない温度と言われているので、そういう人たちはなるべく体温を上げることを意識するといいです。昔の人の体温は37°C前後だったとも言われているので。
甲斐さん:37℃ですか! なんで現代人はそんなに体温が下がっているんでしょうか?
樋口さん:自律神経の乱れによるストレスが大きな要因ですが、食べ物ですね。
人工甘味料や白いお砂糖を使った安価なものが増えてきたからだと考えられます。安価な分どうしても添加物が入ってくるので、身体を冷やしやすいんです。
あとは運動不足ですね。今、小中学生の筋力低下もすごく問題になっています。将来、自力出産ができなくなるかもと言われているくらいです。
昔は和式のトイレや座敷が主流で、下から立ち上がる動作が生活の中で多かったんですよね。今は逆に洋式の生活が主流なので、それが筋力低下につながっていると考えられています。
甲斐さん:温め、運動、食事が大事ってことですね。フェムケアに限らず健康でいるために意識したいことだから、パートナーとも一緒に取り組めそうです。
【プロフィール】
樋口奈津子
J.N Beauty合同会社代表。日本デリケートケア協会 理事、インストラクターを務める。日本化粧品検定1級。
Instagram : @nh725
関口裕子
ママ美容師コミュニティ MAMABI PARK 園長、一般社団法人日本ママ美容師協会 代表理事。現役美容師であり2児の母。
Instagram : @yuko_mamabi
甲斐紀行
Lond Holdings 代表取締役。手がける国内外美容室事業は現在74店舗。人材育成、メンター教育、コーチングなどを担う。
Instagram : @kai_noriyuki